第26章 事変
「……ッ、駄目だ……!!」
無関係な一般人を巻き込んで死なせるなんてこと、できない。
そんな私の思考などおかまいなしに宿儺は白い歯をむき出しにして笑った。
「なら、オマエが守ればいいだろう。俺の攻撃からな」
は……?
それは一体どういう……。
「領域展開"伏魔御廚子"」
私の言葉など意味をなさず、領域は展開されてしまった。
私は悟、他の術師とは異なり、宿儺の領域は結界で空間を分断していなかった。
なんだよ、これ。
こんなの見たことねえよ。
悟でも生得領域を具現化することなんて……!!
「伏黒恵への影響を考慮し、効果範囲は140mの地上のみに絞った。オマエが人間どもを救いたいと願うならオマエ自身で証明してみせろ」
「糞がッ!!!!」
呪力が底尽きてる私にこの領域から一般人を守れだと?
無理ゲーにもほどがあんだろうがよ。
……いいよ、やってやるよ。
人間の底力を舐めんじゃねえ。
「"施錠"!!」
鍵を四方八方へと投げ建物の外壁や地面などに打ち込んでいく。
こんな広範囲での呪力出力なんてしたことがないし、今からやろうとしていることはほぼ"初めて"だ。
実践経験もいい所だな。
上手くいくかどうかは考えない。
ただ、自分のやるべきことだけを考えろ!!
「"解放"!!」
"施錠"で領域内にいる一般人を閉じ込め、"解放"で一般人の身を守る。
いわば、簡易領域に似たもの。
本来"解放"の使い道は術式の制限を解放するためのものだ。
"帳"などの結界を破るために有効となる術式。
だが、今はそれを応用し使っている。
鍵を通して呪力を吸収し、外へ解放することで術式と術式がぶつかり合い無効化。
それを狙っているが、正直うまくいくとは思っていない。