第26章 事変
「オマエ、伏黒を見てろ。いいか、妙な気を起こしてそいつを殺して見ろ。頭のてっぺんから爪の先まで皮を剥いで肉を抉ってやる」
「……こわっ。やることがもうカタギの人じゃないよ」
「うるせえ。わかったのかわかんねえのか、どっちだ」
「ヤクザじゃん……。わかったよ。俺は何もしない。休戦といこう」
「逃げても殺す」
「わかったってば」
伏黒をアイツに任せるのは不安だったが、それよりも早く宿儺の所に行かないと。
これ以上の被害を抑えるためには私がなんとかしないと。
なんとか、できる自信なんてないけど……。
呪力もほとんどなく体力だって負傷したせいで半分もない。
が、それがなんだってんだ。
宿儺の呪力と魔虚羅の呪力を追いかけ、漸く見つけた場所は伏黒がいた場所から150mくらい離れた場所だった。
たった150mを走っただけで息が切れてる。
くそ……ッ。
乱れた呼吸を整えようと大きく息を吸い込んだ私の目に、領域展開をしようと印を結んでいる宿儺の姿が映った。
嘘だろ……。
こんなとこで領域展開したら他のやつらを巻き込むだろうが!!!
考えるより先に足が出ていた。
伸ばした手は制服の裾を掴んでいた。
宿儺と視線がぶつかる。
その目はどこまでも冷え切っていた。
「や、めろ……ッ。オマエが、領域を展開したら一般人が……」
「甘いな。ここで俺が敗れたら伏黒恵もオマエも死ぬぞ」
確かに宿儺が負けたら、一体誰が魔虚羅を倒すと言うのか。
分かっている。
この場で魔虚羅と対等なのは宿儺だと言う事は。
だけど、それでも領域展開だけは……。