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攫ってほしいと頼んでも ♔setters♔ ‐HQ‐

第3章 ウソと人魚の心を手放した代償





『はっ…ん、んんっ…!!』

前に影山にキスされたときは触れるだけで
すぐ離れたのに今回は長く押し付けられる
押しのけようと出した手は全て掴まれて、そのまま押し倒されてしまう

組み敷かれた拍子にお互いの唇は離れる
手首を抑えられ身動きの取れない私はいま起こったことに必死で理解しようとする
…いま何…なんで

影山の顔は前髪がかかってよく見えない
月島くんの話をしてて、それで…どうしてこんなことに…?


『…かげやっ』

「好きだ、お前が好きだ」

胸のあたりがキュッとなる
影山はずっと私に伝えてくれる

私は……?


けど思考はまたここで途切れる
影山が再び自分の唇を押し当てる

唇を這わせるようなねっとしりた口づけで
影山の私への想いが、唇を通して体に流れ込んでくるようだった

頭がぽーっとし始めて、思考が鈍くなったとき
唇は下り首筋へと移動していく

『…やっ…!』

首筋から鎖骨にかけて愛撫のように動かされる唇にゾクゾクして呼吸が荒くなっていく
…とめないっ…と
そう思ってるのに影山が体を触れるのを待ちわびてる自分がいるのも事実だった

器用な手先でブレザー脱がされ、ベストを捲られワイシャツのボタンへと手をかけられる


『…!!』

この先まで進んで、いいのかな…
だって、だって私達はずっと今の関係で

『…ねぇ!かげやまぁ!』

ようやく出た声に硬直していた体も動き出す
けど影山の手はすでにボタンを外し終えて、前が開いたシャツからは露わになった下着が目に入る



『…ダメだよ…幼馴染みじゃなくなっちゃ…』

もうあんな風に言い合うことも出来な…

「俺はお前のこと一度も幼馴染みなんて思ったことない」


思って____________ない



ふいに涙が頬を伝う
悲しい、のかな、わかんない

ただ影山の言葉が胸を掴まれたように痛くて苦しくて
何を言えばいいのか



「…あぁ…このっ泣くなバカ」

影山は気張っていた雰囲気を崩して自分の髪をくしゃくしゃにしたあと、私の頬へと手を伸ばした

涙を拭き取る手はとても優しくて温かくて安心する

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