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攫ってほしいと頼んでも ♔setters♔ ‐HQ‐

第2章  お転婆アリスを追いかけた迷いネコ




結構安定しないけど高さは十分ある
猫は目を閉じて睡眠に入ったようだった

『も、もうちょっと右ー!』

「ん、りょーかい」

伸ばせるだけタオルに手を伸ばす。あ、届いた…!
この作業に全神経を降り注ぎ、あとは猫を起こさないようにそっとタオルを抜き取っていく。
感じていた風は爽やかなものから私を急かすものへと変わった気がする

『と、取れたぁ〜!!!!』

「ちょ、バカ、動かな…わぁっ」

肩車は見事に崩れ落ちて私達はまた地面と近くなる
今度は打ちどころが悪くて全身に激痛が走る
って…私より…勢いよく起き上がり、痛みで歪めた顔をしている彼に詰め寄る。

『だ、大丈夫?!ケガしてない?!』

「…痛いに決まってる、ケガはしてないけど」

彼は起き上がるなりジト目で私を睨みつける
それはそうだ、私が勢いをつけすぎたせいで崩れたのだから

『本当にごめんね、危ないことさせて…』

すると彼は私に近付き、その細い指先で私の目の下を擦る。離した彼の指先には赤い水滴が付着している。

「…ケガ、してるのそっちじゃん」

彼はもう一方の手で私が掴んでいたタオルを手に取る。タオルに視線を落としながら今まで一番大きいため息をついてその場で胡座をかく

「このタオル一つでこんな汗かくと思ってなかった
…追いかけるなんて…いつもならしないのに」


「…おれじゃないみたい」


『?』

首を傾げていると再び彼の目線が私に注がれる
その瞳は何か新しいものを発見した子供みたいだった

「名前何ていうの」

『え、 有栖川 くるみ…!』

「 くるみってよく変って言われるでしょ」

『え!言われないよ!』

何を見てそう思ったのかな

『えっと…あなたは…と名前なに!』

「研磨…孤爪研磨」

『じゃあ研磨も変だね!』

「ムッ)…どこが?」

『変な私と話してるから!』

研磨は意味分からないという風に眉間にシワを深くさせ、苦い顔してる
その表情が思ったよりも面白くて笑ってしまう

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