攫ってほしいと頼んでも ♔setters♔ ‐HQ‐
第2章 お転婆アリスを追いかけた迷いネコ
「振られてんだからいい加減諦めたら?
王様のくせにちょっとみっともないんじゃない??」
「俺はフラれてねぇ
いいから 有栖川 から離れろ」
月島くんどうしたんだろう…
揶揄ってくるからあんまり良く思われてないと思ってたけど、及川先輩のときといい庇ってくれてる?
案外月島くんって優しいのかな
「ねぇ 有栖川 さん
強引にキスを迫ってくる横暴な王様と僕
どっちが危険だと思う?」
『それはねぇ、王様かなぁ』
「だってよ王様、じゃそういう事だから」
納得いかないような影山を背にして、月島くんに連れて行かれるまま歩く。流れで私達はそのまま部室へと向かっていた
『部室…?』
「日向がサポーター忘れたから自分が取ってくるってさっき引き受けてたでしょ」
『あ!!』
「ハァ…そんな時間経ってないと思うけど?」
呆れて言う割には一緒についてきてくれてるんだもん
やっぱり月島くんは言葉と行動が裏腹なだけですごく優しい人なんだよね
『あれ、んー?日向のサポーターどこ??』
「あの野生児、すぐテキトーな場所に置くからッ」
日向どこに置いたんだろう…
戻って聞きに行くより探したほうが早いか
私と月島くんは二手に別れて探し始める
『月島くんて、本当は優しいんだね』
背伸びして棚に並んだ段ボールの中身を覗いてみる
過去の月バリが一番上まで積み重なっていた
「は?僕が?どうしたらそんな事思うんだよ
あと日向の身長じゃそこ手届かないでしょ」
『あ、そーいえばそうだ…
だって月島くん何気によく私のこと見てくれてる気がするし、今だって一緒に日向のサポーター探してくれてる』
「……まさか王様に同情することになるとは思わなかったんだけど」
『??』
その時月島くんの顔が鬼気迫ったものになり私の腕を力一杯掴んで引き寄せる。顔面が月島くんの胸板にぶつかり鼻に微かな痛みが走ると、そのまま両腕で体を抱き締められる
ズドン!!ガシャン!!
物が崩れ落ちる音が背後で響いて、月島くんの腕の中で振り向く
先程まで私が見ていた月バリが入った段ボールがひっくり返って中身が全部出ていた
『う、ひゃあ…』
あんな重たいものが頭に直撃してたらと思うとゾッとした