攫ってほしいと頼んでも ♔setters♔ ‐HQ‐
第2章 お転婆アリスを追いかけた迷いネコ
「おい、いつまで怒ってんだよ」
『一生許さない!影山とは口聞かない!』
烏野は青城との練習試合から新たに戦力を得たのでした
新たにと言っても一ヶ月部活謹慎を食らっていたリベロの西谷先輩
エースでありウィングスパイカーの東峰先輩
そして何と言ってもGWに控えている合宿
何しろ最終日は東京の強豪、音駒高校との練習試合
烏野にとっては因縁の相手で数年ぶりの各校の再会になるそう
「ていうかお前昨日激辛ラーメン奢ったら許すって言ってたよな、おいどういうことだコラ」
『ちょっとは許したけど、まだ少し怒ってんの!』
「そんなヘリクツが通じるかボケェ!!」
結局あのあとその場でちょっとしたケンカになってしまい、周りが止めに来る騒然とした事態に…
最初は少し気まずかったけど、影山はいつも通りでなんかムカつく
『痛たただただ!!タイム、離して!』
首に巻き付いてる腕を全力で取り払おうとするけどビクともしない
影山はゆっくり腕を解き勝ち誇ったような顔をする
『もう!…でもやっぱりあんな人前で言うことないのに』
「まだグダグダ言ってんのか」
『ついでに、き、キスもね!そーいうのホントに良くない!』
「言ってからすればよかったのか?」
『聞いてもダメ!しかも及川先輩の目の前で…あっ』
影山は結構嫌な事は顔に出やすい方だと思う
口を拗ねたように上に尖らせ、不機嫌オーラ全開
ジリジリと後退ろうとしたとき影山の手が私の頭のてっぺんを掴む
『ぐっ!?』
影山の顔がグンと近付いてきて至近距離から言う
「言ってもダメならいちいち聞かねぇ
俺が好きなときにお前にキスする」
『な、なに言って…』
「喋んな」
ちょっと前まで影山にこんな気持ちになることなんてなかったのに
拒みたいだなんて思わない自分と、こんなときに及川先輩を思い浮かべてしまうことに罪悪感が覗く
「はーい、ストップ」
月島くんの声が頭上から降ってきたと思えば体が勢いよく後方へと引っ張られる。影山の手元から離れたと思えば今度は月島くんの腕の中に収まる
『月島くん…?』
「いくら王様でも、この先は見過ごせない」