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攫ってほしいと頼んでも ♔setters♔ ‐HQ‐

第2章  お転婆アリスを追いかけた迷いネコ




『月島くん…ありがと…』

「 有栖川 さんがさ、いつも通りで安心してる」

月島くんの表情が見たくて胸元から顔を上げようとしたとき腕に力を込められて再び押し付けられる
…少し速い…けど穏やかな…月島くんらしい鼓動
遠くからどこかの運動部の掛け声が聞こえるだけで辺りはシーンとしていた


「まだ、そのままでいてよ
誰のものにならないで」


言う言葉が見つからない
月島くんの声は落ち着いているけど囁くように甘い


「王様が好き?」

少し躊躇したけど首をゆっくり横に振った



「それとも…」




体に力が入る、自分が身構えてるのが分かる
私を囲う月島くんの腕の力が緩む
ゆっくり体を起こして彼を見上げる


「安心して、僕からは聞かないから」



月島くんは意地悪そうに微笑んでいて
その頬はほんの少し赤みを帯びている





『もしかして、月島くん私が先に彼氏出来るのが悔しいの…?』

「…それまさか本気で言ってるわけじゃないよね」

『えっと…はい』

月島くんは立ち上がって何事もなかったように月バリを段ボールに片付け始めた
?一体何だったんだろう

程なくして日向のサポーターが見つかり私達は部室を後にする

『結構時間経っちゃったね』

「ほとんど落ちた雑誌拾ってたけどね」

『アハハ…』

体育館に近付くと日向がひょっこり顔を出す
その元気さに思わずフッと笑ってしまう

「…さっき僕が優しいって言ってたけど」

声に反応して月島くんを見上げる
月島くんは足を早めて私より先を歩く




「優しくするのは好きな人にだけだから」














「なぁなぁ俺のサポーターは!?」

『え、あ…うん、こ、これ』

さ、さっきの言い方じゃまるで私が好きみたいになる…

『ね、ねぇ日向、月島くんって優しい?』

「月島が優しいか優しくないかだったら優しくない!」

あ、そういうことか!
遠回しに自分は優しくないって言おうとしたのか。私は日向の肩に手を置いて、片方で親指を立てる

『日向ナイス!』

「?おう」

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