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攫ってほしいと頼んでも ♔setters♔ ‐HQ‐

第1章 幼馴染みは森の中で姫を見つけた





「ん、 くるみー??」

『あれ、日向…?』

「もしや俺の最後のブロードがスゴすぎて気が抜けた感じですか!」

日向が私の顔を覗き込んできながら意気揚々に語りかけてくる
あぁそっか試合、もう終わっちゃったんだ

特に反応を示さない私に日向は不思議そうに首を傾げる

「あ、でも大王様のサーブヤバかったよな…
さすが影山のシショー」

『?大王様って?』

「だって影山の先輩だろ
王様の上なんだから、大王様!」

日向は顔を顰めて及川先輩を指差す
体育館でチームメイトと話す横顔が目に入る

「あれでもそう言えば…」

及川先輩を見ている内に先程のサーブが頭に流れてくる
初めの頃あのサーブを見ていたくてマネージャーになったんだっけ

及川先輩の顔が動く
体が一瞬大きく上下して、心臓の鼓動を打つ速さ増がす
その瞳は私を映して、私の瞳も及川先輩だけを映してる


及川先輩は哀愁漂う笑顔を私に向ける
胸の中から何かが込み上げてきそうになったとき

「あ!思い出したぞ!
影山の言ってた及川って大王様のことなんだよな…」

「ってことは くるみと付き合ってたのは大王様なのか?!」


日向の高く通る声は体育館に反響して返ってくる
気の所為ならいいけど一気に大勢の視線が集まったような

『ひ、日向それ今いう?!!』

「俺…なんかマズいこと言っちゃた感じですか?」

((大マズだよ!みんな見てるよ!))

((ゴメンナサイぃィィ))



「傷付くなぁ、別に隠すことでもないのにさ」

及川先輩の声だ
私は日向からゆっくり、声の方へ顔を移動させる
最後に話したときからさほど日付は経ってないのになんでこんなに懐かしく感じるのかな


「久しぶり、 くるみ」

『…お久しぶり振りです、及川先輩』


最後の方、声上ずった…!
恥ずかしくて下を向きたくなる気持ちをグッと堪える
日向が小声で「シュラバだ!」とか咄嗟に後ろに逃げたのを咎めに行きたい


「 くるみ俺のサーブ、ガン見してたでしょ」

え!見られてたの!?どうしよ!!
気持ち悪いって思ったのかな…?

思考が交錯して上手く言葉が出てこなくて黙っていたら突然及川先輩が吹き出す

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