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【WIND BREAKER】愛なんて知らなかった(R18)

第9章 ※偶然の再会



良かった、と私を見ると、目を見開いた。

「どうした?何が…あった?」

『…っ……』


見られてしまった。

恥ずかしさで俯いた。


「…………」

梶君は立膝をついて屈むと、呟いた。

「話せるか?」

ブンブンと首を振ると、涙がポロポロと零れた。

「…体は?何ともないか?」

ゆっくりと頷くと、私を見る梶君の顔は歪み、そのまま隣に腰を降ろした。


『……梶君…』

「気にすんな。休んでるだけだから…
何か言いたくなったり、困ったりしたら声かけろ。」

携帯ゲームもせずに、梶君はビルにもたれ、行き交う街の人の波を見つめた。

時折大きな声で男子高生が騒いで通り過ぎ、私達を見ていった。


「榎本に感謝だな…」

『…榎本…君?』


「いや…」

梶君は榎本君のために駅まで来ていたこと、私を見つけて後を追ってきたことを教えてくれた。

『…ありがとう…ございます。』

「…………」


梶君は私の頬に触れると、涙を拭った。

「何があった、沙良。
痴漢とかじゃ…ねぇよな?」

眉間に皺を寄せ、心配してくれているのがわかる。


首を振って応えた。

『大丈…夫…』

「…………」


梶君はチッと舌打ちすると


頭を引き寄せ

胸の中にそっと閉じ込めた。

『…っ……』

「大丈夫なやつはこんなとこに逃げ込んで、泣かねぇだろうが…」

割れ物を扱うように、優しく包み込むように抱きしめる。
鼻腔に梶君の香りが広がる。



気持ちいい…



『梶君…』

「…何だ。」

『梶君は何で…痣のある私を…
大事に…思ってくれるん…ですか?』

梶君は目を見開いた。







side 梶

蚊の鳴くような、ようやく絞り出した涙声でそう言う沙良が消えてなくなってしまいそうで、強く抱きしめた。

「…お前はお前だろ?」

できるだけ優しく肩を掴みながら、沙良の目を見て聞いた。

「痣のことを誰かに言われたのか?」


沙良が自分から痣を見せることは、この間のような場面でなければ考えにくい。痣を見た誰かがコイツを傷つけるか?それは多分ない。

沙良は虚ろな目で応えた。

『私は私って…
梶君や皆のお陰で…そう思えました。
でも…やっぱりそうじゃないんじゃないかって…
弱い自分が…そう言ってくるんです…』
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