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合同リレー作品集【鬼滅・呪術・ヒロアカ・WB 他】

第5章 お題小説 花モチーフの歌 + α



花の名前。
それから、たしか――虹っていう意味もあったはず。


子供の頃に読んだ本に、そんな話があった。
空と地上を繋ぐ女神。
神さまの言葉を運ぶひと。
その零れた雫が、地上で花になったとか……その花が、アイリス。


遠い場所同士を結ぶ花、アイリス。
そんな名前の曲が、イヤホンを通して先生と私のあいだに流れている。


(このまま、先生の世界と繋がれたらいいのに……なんて)


曲名ひとつで、何考えてるんだろう。
ばかみたい。
でも、そうだったらいいのにって思ってしまう。


ふと、先生の手に視線が吸い寄せられた。
右手が体の横へだらりと落ちていて、開いた手のひらが上を向いている。


(ちょっとだけ。隣に手を置くだけ……)


さっきから「ちょっとだけ」って、言ってばっかりだ。
この曲が流れている間は、なんだか先生に近づけるような気がして。
自分の手を先生の手に近づける。


あと数ミリ。
自分の心臓の音がうるさい。


戻さなきゃ。
今ならまだ、何もなかったことにできる――







「……ん」



先生の人差し指がわずかに動いて、私の小指に重なった。


(っ……!)


驚いたその拍子に、ソファがわずかに軋む。
すぐに先生の顔を見たが、長いまつ毛は閉じたまま。
寝息も変わらない。


(よかった……起きてない)


ほっとして、息を吐く。
それから、もう一度重なった指を見た。


触れている箇所が、火傷しそうなほど熱い。
私の指とは違う、少しだけごつごつとした感触。
大人の男の人なんだって突きつけられる。


ずっと届かないと思っていたものに、触れてしまったからだろうか。
すぐには指を離せなかった。


もう少しだけ、このままでいさせて。
お願い、この曲が終わるまででいいから――


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