合同リレー作品集【鬼滅・呪術・ヒロアカ・WB 他】
第5章 お題小説 花モチーフの歌 + α
私が齢15になった頃。
父上から婚姻の打診がありました。
「歳も近い殊現と結婚するのはどうか?」
父上の言葉を聞いて、私は膝に置いていた手を握り締めました。
「いいえ父上。殊現様はまだ試一刀流の段位も低く、下位の門下生です。私がすぐに嫁ぐのなら、試一刀流の上位であり、兄弟子でもある十禾様になるのではないでしょうか。」
この判断に、一切の私情はありませんでした。
私はただ山田家の女人の役目を果たそうとしただけでした。
それが山田家の最善だと分かっていたからです。
しかし、父上は顎に手を当てて、何やら悩んでいる様子でした。
私にはその時の父上の悩みは分かりませんでしたが、後から思えば父上は十禾様に、何やら思うことがあったのでしょう。
「…お前の気持ちは分かった…。十禾にも伝えるとしよう。」
歯切れの悪い父上の言葉でしたが、私はこの時にやっと山田家のお役目を果たす時がきたのだと覚悟しました。
父上の部屋を出た後に、どのようにして部屋へ戻ったのか、覚えていませんでした。
しかし、襖を開けて目に入った一輪の花を見たときに、心臓が冷たい手に握りつぶされるような気持ちになりました。