合同リレー作品集【鬼滅・呪術・ヒロアカ・WB 他】
第5章 お題小説 花モチーフの歌 + α
私がそう言うと、殊現様は少しだけ顔を俯かせて、小さく頷きました。
それからです。
私の部屋に、たまに一輪の花が咲くようになったのは。
それが誰が挿しているのか、教えられなくても私には分かりました。
それからの殊現様は大きく変わったように思います。
体も大きくなり、もう刀の刃をこぼすこともなく。
彼の周りには沢山の門下生が集まるようになりました。
殊現様はよく笑い、そしてやはりよく泣いて。
それでも山田浅ェ衛門の門下として、厳しい修行もお役目も真摯に取り組んでいました。
私たちは歳を重ねるにつれ、幼少期のように過ごすことは無くなりました。
殊現様にはお役目があり、私にしか出来ないお役目があります。
当代浅ェ衛門の娘として、男児を産むことが私の役目です。
沙切ちゃんは打首人としての道を早くから望み、殊現様と一緒に稽古に励んでいました。
そんな沙切ちゃんを羨んだことはありません。
山田家の男児を産むお役目を、私自身誇らしく思っているからです。
私たちの距離は離れていきましたが、私の部屋には、変わらずたまに一輪の花が咲いていました。