第11章 新入りさん入ります
翌日、翔陽は午後の小テストに備えてか、休み時間に教室を飛び出していった。
おそらく蛍のところだろう。
門前払いを食らって終わりな気もするが。
「鈴~!お昼どうすんの?」
「今日はここで食べる。幼馴染の怒ってるとこ、見たくないし」
「?じゃ、一緒に食べよ!」
「うん!」
隣の席のクラスメイト女子が声をかけてくれたので、今日はボッチ飯回避だ。
「そういえば鈴、4組の月島?くんと仲いいの?」
「へっ?」
友人から突然でた幼馴染の名前に、箸が止まった。
「蛍のこと?まあ、家となりだし…」
「一部の女子からひっそり人気あるらしいよ?知ってた?」
「いや、全然・・・」
知らない、とは言ったものの正直そんな気はしていた。
近寄りがたい雰囲気はあれど比較的整った顔にあの身長。
中学時代も何人か「月島くんかっこいい」と密かに囁いていたのを聞いたことがある。
「忠もいつも一緒だよ?」
「た、ただし?…ああ!黒髪のあの子か!そういえば月島君が大きいから目立たなかったけど、あの子も身長大きいよね」
「そうだねぇ」
小学生のころは大して目立つサイズではなかったものの、あたしも忠も、中学に突入してからというもの、何故かぐんぐんと身長が伸び始めた。
あまり意識はしていなかったけど、高校1年生にしては他の男子に比べて大きい部類に入る。
「バレーやってると伸びるのかな?鈴も?」
「いや、あたしは水泳だったけど…。ウチは遺伝かな」
「そうなの?」
「うん、お母さんですら170あるし、お父さんに至っては192とかだった気がする…。お姉ちゃんは172」
そう、我が家は高身長一族なのだ。
何故かバレーをやっていないあたしが女性陣のなかで一番大きくなってしまったのだが。
「うわぁ、すごいね…」
「男の子が生まれてたと思うとヤバいよね」
少々引き気味の友人に笑って返す。
コンプレックスが全くないわけではないが、かと言って自慢に思っているわけでもない。
実際”可愛い”とあこがれるアイドルや俳優は小柄で守りたくなるようなルックスの子が多いし。
「鈴もスポーツやればいいのに」
「こんな身長なのに、陸地では俊敏に動けないんだよねぇ」
そんな会話をしながら、休み時間はあっという間に過ぎていった。