第11章 新入りさん入ります
あれから数日、眉間に皺の増えていく蛍を眺めながら部員勧誘に勤しんでいたあたしはこの日も収穫0で部活へ向かう。
「あの!ちょっといいかな!」
まだジャージに着替えていない、制服姿の潔子先輩が体育館に現れた。
「!!新しい人、見つかったんスね!」
潔子先輩の後ろからおずおずと姿を現した小柄で可愛らしい女の子。
それを見るなり察した翔陽が大声を上げた。
「なになに~」
「何スか~」
騒ぎを聞きつけた夕先輩と龍先輩が集まってくる。
潔子先輩は、部員が集まったのを確認してから口を開いた。
「えっと、新しいマネージャーとして仮入部の―――」
「やっ、谷地仁花です!!!」
「おぉーっ!?」
「マジかスゲー!!」
翔陽とあたし以外、このことを知らなかったのか、部員たちは感動の声を上げている。
「かわいい…」
「?」
仁花ちゃんの姿を見て思わず感想を零すと、隣にいた蛍が怪訝そうな表情でこちらを見ていた。
優しく声をかけた旭先輩は怯えられているし、夕先輩と龍先輩は何故か孝支先輩越しに仁花ちゃんを凝視している。
怯えて挙動不審になっている仁花ちゃんを庇うように、潔子先輩は口を開いた。
「ま、まだ仮だから…!今日は顔見せだけ!」
「よ、よろしくお願いシャス…!」
「シアース!!」
仁花ちゃんの可愛らしい挨拶に部員全員で返すと、迫力に圧倒されたのか、固まってしまった。
「慣れるまでは取り囲んでの挨拶止めて!」
「「「???」」」
潔子先輩の言葉に、何故?と言いたげな部員たちをよそに、潔子先輩はあたしの方へと視線を向ける。
「鈴ちゃん、こっちきて」
「はい!」
あたしは勢い良く返事をして潔子先輩の隣へと駆けつけた。
「ちゃん…?」
「あ、えと、1年の永瀬鈴です!あたしもマネージャーなんだ、よろしくね」
にこりと笑ってそう話すと、、仁花ちゃんは急にショックを受けたような顔になる。
「へ!?…ま、マネー、ジャー?…女子?」
「え?」
「はっ!いえ!よ、よろしく…っ」
「ぶっ」
聞き返すような小さな声に反応すると、仁花ちゃんは急に何かを切り替えて元気よく挨拶を返してくれた。
傍で見ていた蛍の笑い声はスルーして。