第10章 初めてのインターハイ予選
烏野タイムアウト2回目。
これでもう、こっちはタイムアウトを使えない。
まさに崖っぷちギリギリと言ったところだ。
「こういう時は声だ声!!とりあえず声出しとけ!!」
「は、はいぃ!!」
「行け行け烏野!押せ押せからすn・・・」
滝ノ上さんの圧に押されて、固まっていた体を動かして声を出す。
お手製応援グッズを振り回しながら。
そんな時、いきなり鵜養コーチがこちらに振り向いた。
島田さんの方を向いているようだが、特に何をいう訳でもなくお互いに見つめ合っている。
「…??」
「どうしたんでしょうか」
視線の理由がわからないまま、試合再開。
なんとか向こうのタッチネットが捕まり、サーブ権がこちらに移る。
でも、翔陽がサーブだ。
「だ、大丈夫かな…」
「おい、島田、アレ…」
「え?」
何かを見つけたらしい滝ノ上さんが、控え選手の方を指さしている。
ピーッ
突然鳴った笛。
滝ノ上さんの指の先を確認すると———
「たっ、忠!!?」
震える手でプレートを持ち上げて、今にも倒れそうな顔色の忠がコートの近くに出て来ていた。
「ピンチサーバー!?」
状況を理解した島田さんは、頭を抱えて座り込む。
「繋心何考えてんだあほかあああ!まだせいぜいマグレ当たりだって言っただろうがあああ」
「…その”マグレ当たり”でさえ欲しいってことなんだろ」
「た、た、忠ぃぃぃ!!!」
あの忠がこの状況で出されるなんて、泡吹いて倒れてしまいそうだ。
練習を始めてこんなに早く出番がくるなんて…。
「やまぐーち!!1本ナイッサーブ!!!」
コート端から、元気な声が響き渡る。
孝支さんたちの鼓舞する明るい声に、ほんのちょっぴり落ち着きを取り戻したのか、表情が和らいだ。
「あちゃ~。ガチガチだな」
「しょうがねぇよ」
「頑張れ忠ーーー!!!」
とにもかくにも応援。
少しでもこの声が届いてリラックスできるように。
ピーッ
サーブ開始の合図がされた。
特訓したジャンプフローターサーブ。
初の公式戦。
結果は———