第10章 初めてのインターハイ予選
青葉城西のセットポイントでなんとか引っ掻き回したものの、翔陽のブロックはアウトとなり、1セット目は譲る形となってしまった。
「はあ~~~」
「心臓に悪いな、この試合…」
「本当ですね…貧血起こしそう」
「おい、しっかりしろよ、マネージャーなんだろ!」
「た、たとえ話ですよっ」
2セット目開始前、力が抜けて座り込んでしまったあたしを滝ノ上さんが手を引っ張って立ち上がらせる。
本当に貧血を起こしたわけではない。
ちょっと緊張が解けただけだ。
すぐに新しい緊張がやってくることにはなるが。
「それにしても、蛍はほんと落ち着いてるなぁ…」
動きにはさぼろうとかそんなマイナス要素は一切ない。
与えられた役目をひたすらにこなす蛍に関心しただけだ。
ピーッ
試合開始の笛が鳴る。
ここで取られたら終わり。
そんなことには絶対ならない。
このメンバーなら、絶対に。
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「…ん?烏野2セット目少しローテ回したな青城は1セット目と一緒か」
「でも、何で回したんだろ?」
「さぁ…」
作戦はもちろんこっちには聞こえない。
あらかじめ決めていた物とは違うし、いつも試合によって臨機応変に変わっていく攻撃スタイルは、場外にいるあたしにはよくわからないことも多かった。
2-2になった時、及川さんのサーブが回ってきた。
その時に、このローテだった本当の意味を知ることになる。
「あれ、後ろに2人…?」
「及川クンのサーブの時に、このローテーションを持ってくるためだったのか」
何かに気づいたように、滝ノ上さんが呟いた。
滝ノ上さんの話では、及川さんのサーブの際、レシーブがうまい夕先輩と大地先輩を守備枠として据えるため。
大人数でごちゃごちゃ守るよりも、こっちの方がやりやすいらしい。
「でもそれって、守備範囲が広がって逆に難しいんじゃ…?」
「ああ…。鵜養も賭けなのかもな」
あたしの不安はまたしても杞憂だったらしい。
大地先輩が素晴らしいレシーブでボールを上げたから。
安定したセットから繰り出される龍先輩のスパイクで、烏野の得点が決まる。
「しゃあああ!!!」
なんとか及川さんサーブの流れを断ち切った烏野の雄たけびが響き渡った。