第10章 初めてのインターハイ予選
しかし、そう上手い事引き離せるはずもなく、試合はシーソーゲームのような展開。
取っては取られ、取られては取り返す。
そして、時は来てしまった。
「———均衡が崩れる瞬間。それを”ブレイク”と言う」
「……っ」
青葉城西のブレイク。
そのまま続けて翔陽がブロックに捕まり、追加点を渡してしまう。
「まずい…流れ持ってかれるぞ…!」
呟く滝ノ上さんの隣で、ちらりとベンチの方へと目をやると、飛雄が動き出している。
そろそろ交代だろうか。
交代間際、旭先輩がスパイクを決めて、流れを断ち切る。
ほんの少し悔しそうな孝支さんは、コートの外へ、飛雄と入れ替わっていった。
「…」
間違いなく、この試合展開を引っ掻き回したのは孝支先輩だ。
飛雄も、この流れを絶対に手放してはいけないと思っているはず。
「っ、頑張れ!!!」
さっそく飛雄のサーブになる。
ぎゅっと握りしめた手に、汗が溜まっていた。
急に飛雄の周りだけ、温度が下がっていくのを感じた。
「っしゃ!」
集中力を取り戻した飛雄から放たれた強烈なサーブは、見事にリベロからサービスエースを攫った。
「ウェーイ!」
「ぅ、ウェーイ」
目の覚めるようなサービスエースに、龍先輩が圧(?)をかけながらハイタッチを強要している。
珍しくそれにこたえる飛雄。
何だか不思議な光景を目にしているようだった。
今まで飛雄のハイタッチなんて見たことなかったから。
次もサービスエース、とはいかなかったものの、翔陽たちの変人速攻が決まって逆転。
本当に目が離せない。
多分、マネージャーをしていなかったとしてもこの試合は夢中になってみていたことだろう。
1点取り返されたものの、また逆転。
そしてそのまま———
「頑張れ、蛍」
翔陽がサーブ、夕先輩がはけて蛍が入る。
飛雄が蛍にトスを上げることが少ない気もするけど。
大丈夫かな…。