第10章 初めてのインターハイ予選
試合開始、序盤は何故かセッター同士のツーアタック対決になっていた。
いや、対決と言っても及川さんにされたことをそっくりそのまま飛雄がやり返しただけだったが。
「頑張れ烏野ーーー!!」
黄色い声援に負けじと声を張り上げる。
「あ」
次の瞬間、飛雄が珍しくサーブミス。
どういう訳か、心なしか力んでる気がする。
及川さんが相手だからだろうか。
次は及川さんのサーブ。
あの強烈なサーブを止められるとすれば…。
ドパッ
ふわっ
丁寧なレシーブでボールを高く上げて見せた夕先輩。
昨日の試合といい、しっかりと魅せてくれるプレイに惚れ惚れする。
「夕先輩!かっこいいー!!」
どうせ届いちゃいない程度の声でそう叫んでみた。
というか、自然と声が出てしまった。
「見たな、今。ライトの方」
「おう」
ニヤニヤとしながら島田さんが話し出す。
「視線でひっかけるのは音駒のセッターがうまくやってたなそういや」
「あの寸分の狂いもないトスだけでもすごいのに、一瞬ボールから目を離した後それをやる…。やっぱすげぇ技術だ…」
心の底から感心するように言う島田さんに、こっちまで嬉しくなってきた。
「やっぱり、化け物級なんですね、飛雄って…」
「だな」
滝ノ上さんがあたしのつぶやきに反応し、相槌を打つ。
コートから目を離さず、試合を見守っていると、突然のタイムアウト。
優勢のはずの青葉城西からだった。
「このタイミングで?」
「…なんか嫌な感じですね」
嫌な予感はよく当たる———。
そんな言葉は信じたくなかったのに。
タイムアウトが明けて試合が始まると、どんどん点数差をつけられていく烏野。
取りずらいコースへのサーブ、何故か決まらないブロック。
読まれるているかのような動きに翻弄され始めているような気さえする。
それでも気合で何とか食らいつく。
何点差でも折れない、”強い人達”がいる烏野は、もう落ちた強豪なんて呼ばせない。
「うそ、ここで及川さんのサーブ?」
勢いに乗る青葉城西を何とか止めるため、烏野もタイムアウトを取った。