第6章 あの空の向こうで【五条悟・高専編】
雫を見ると、苦しそうに頷いた。
「桜、家こっから近いか?俺のこと案内できる?」
桜は力強く頷くと立ち上がった。
「傑、俺桜とちょっと行ってくるわ。待って…」
傑は雫に何か耳打ちすると、雫は俯いて頷いた。
「ごめんね、雫ちゃん…」
傑は雫を横抱きに持ちあげると、桜に言った。
「桜ちゃん、頼むね。ママも一緒だから。」
俺達は桜に誘導されながら、2人が住むアパートに向かった。
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「顔色、大分落ち着いたね。」
傑は雫の顔を覗き込むと安心したように口角を上げた。
さっきまで意識があった雫は薬を飲むと、途端に眠りに落ちた。ずっと痛みに耐えていたのかもしれないと、握り拳に力を入れる。
正直、聞きたい事はお互い山程あった。
取り壊し寸前のようなアパートはトタン屋根も2階に続く階段もサビだらけで、いつ倒壊してもおかしくないようなつくりだ。
家の中はさっぱりと整えられていると最初は思ったが、整えられているのではなく、そもそも物が全くない。
当然エアコンはなく、扇風機が一つあるだけ。
薄いマットレスが二つあり、その一つに雫が寝ている。
雫の薬は三つあった段ボールのうちの一つの中にあり、雫が詳しく説明しなければ桜にはわからない場所にあった。
雫を連れてきた傑の咄嗟の判断は正しかった。
蒸し暑い部屋の中で雫を見つめる桜は何か気づいたように台所に向かうと水をコップに注ぎ、俺たちに出した。
「お水…どうぞ。」
口に含むと生ぬるくて飲めたもんじゃなかった。
傑は全て飲み干し、ありがとうと微笑みながら言うと、真剣な顔つきで口を開いた。
「桜ちゃん、ホントにごめんね…
私がママに無理をさせたんじゃないかな。
ママのこと、よく知らないのにあんなに運動させちゃって…ホント、ごめん。」
頭を下げる傑に桜は首をふった。
「ママはお外走るとか、遊ぶとかしなくても、お胸痛いってなるよ。前のお家でもよくなったし。ばあばとケンカするだけでなってたし…」
「ばあば…?今は一緒に住んでないの?」
傑が聞くと、桜が答える前に俺が口を開いた。