第6章 あの空の向こうで【五条悟・高専編】
「てかさ、父さんは?お前のパパ、仕事?」
桜はビクリとして俯いた。
「パパは…会ったこと…ない。」
「一度もか?」
「………」
コクンと頷く桜と雫を交互に見つめる。
桜と雫はそっくりだ。
色白で、人形のように整った顔立ちをしている。
故に、父親がどんな顔かは想像がつかなかった。
グー…
「っ……。」
桜が赤い顔をして腹を押さえた。
「お腹空いたよね、桜ちゃん。何か食べたい物はある?
私も悟もお腹が空いたから、何か買ってくるよ。ついでだから、何でも頼んで。」
「………」
「好きな食べ物とか、あるかな?」
桜は俯くと、モジモジしながら畳を弄り始めた。
「ハ………」
「ん?」
傑が桜の顔を覗き込むと
「…ハンバーガー……」
桜は意を決したように、少し大きな声でそう言った。
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side 傑
『ん………』
「…起きたかい?」
『っ…桜?私……』
焦って辺りを見渡す雫ちゃんに、桜ちゃんが寝ている場所を指さす。
「雫ちゃん…体はどう?」
『うん……ありがとう…』
「…ごめんね。ホントに。」
深々と頭を下げる。
本当に考えがなかった。
『傑君、ありがとう。私こそごめんね…
自分の事は自分でちゃんと管理しなきゃなのに、あまりにも桜が嬉しそうで、私もはしゃいじゃって…』
首を振って、尋ねた。
「雫ちゃん、体…あまり強くないの?」
『………』
「言いたくないならいいんだ。ごめん…」
『ううん…』
しばらく沈黙が続いた。
『ご飯…作らなきゃ。』
立ち上がろうとした雫ちゃんの肩に触れた。
「寝ていた方がいいよ。すごい発汗だったし、疲れてるでしょう?
桜ちゃんのリクエストで、夕飯はハンバーガーだよ。悟が買いに行ってる。あと、飲み物とか、食材とか、不足しているものも買ってくると思う。ごめん、雫ちゃん。冷蔵庫もさっき見せてもらった。」
『………』
俯く雫ちゃんの表情が見えない。
パタ…パタタ…
涙の粒が畳を濡らした。
「っ…雫ちゃん…ごめん。」
フルフルと首を振る雫ちゃん。