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【呪術廻戦】甘く愛される短編集《R18》

第6章 あの空の向こうで【五条悟・高専編】



『何で…今日会ったばかりなのに…
こんなに良くしてくれるの…?私達親子に…
私お金とか出せないよ…?何もできないよ…』



涙を拭う


雫ちゃんの肩を触り


引き寄せて


そっと抱きしめた。


『っ……』


「どうしてだろう。自分でもよくわからないんだけれど…雫ちゃんに、無理だけはしてほしくないって思ってる…桜ちゃんのためにも。何か困っているなら、何でも言ってほしい。」


今日、公園で初めて見た時から気になっていた。

君のことを知りたいと思った。


『………桜の…父親は…
桜がお腹にできたって分かってからいなくなって…ずっと会ってない…』

「うん…」

そんなに大事な話をしてくれるのだと、抱きしめる腕に力を込めた。


『実家にお世話になってたんだけど、私の人生は男に狂わされた、ってずっと両親に言われ続けて、遂には桜のせいだって言い出して…桜のために家…出たの…
今は事情があって仕事辞めてて、お金…そんなになくて…
夕ご飯も家で作ろうと思ってたからごめん…ハンバーガーのお金…』


「…………」




我慢の限界だった。




体を離し


綺麗な頬に手を添え


髪をよけると


そっと額に唇を寄せた。



『っ……傑…君…』


唇を重ねたい気持ちを、ギリギリの理性で保ちながら。


「お金なんていいから…君の側にいさせてくれないかな?
今日会ったばかりで胡散臭いよね。信用できないと思うけど、雫ちゃんが苦しんでいるのも、泣いているのも…
私はもう見たくないんだ。」

雫ちゃんの細い肩を抱きながら、気がつくとそう呟いていた。









ーーーーーーーーーー

「ったく…何で俺が…」

ハンバーガーの袋が入ったビニール袋と、コンビニであれこれ買った袋を下げ、アパートまでの道を急ぐ。




"悟君っ……"



ドッジボールで同じチームになった俺にパスを回す雫の笑顔と、目を瞑って横になる、弱った雫の姿を思い出した。


思えばこの間見た時から苦手だった。

境遇が気の毒すぎて、何を言ったらいいかわからなかった。


けど、案外アイツを笑顔にできるのは簡単かもしれないと思った。


「起きてっかな…」

足を速めると、台所からもれる明かりが見え、更に急いだ。
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