第6章 あの空の向こうで【五条悟・高専編】
「危ないよ、こんなとこでボール遊びしてたら。
親が心配するっしょ。」
妹連れて、もっと奥で遊べ、とボールを投げてやった。
女はキョトンとした顔で俺を見た。
「ママ、ごめんねっ!」
ガキも急いで駆け寄ってくると、俺が手に持っていたほぼ溶けているアイスをじっと見つめた。
女は、そんなガキの様子を見て言った。
『桜…アイス食べたい?』
ガキは少し俯くと
「ううん…食べたくない。ママと遊びたい。」
と言って笑い、ボールを持って公園の奥に駆けていった。
女に目をやると、夏だというのにくたびれた長袖を着ており、パンツは体型に合わずブカブカとしていた。
「お前の子供?」
怪訝に思いながら尋ねた。
女は頷くと軽く頭を下げ、ガキの方に戻っていった。
「大変そ…」
俺はそう呟くと、何事もなかったかのように駅を目指して歩き始めた。
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今日もいんのか…
あれから数日。傑と公園の前を通りかかると、またガキと女がボールで遊んでいた。
ガキは俺に気づくと指を指し、女に窘められていた。
「悟、知り合い?」
傑が不思議そうに尋ねてきた。
「いや、全然。」
女をよく見ると、この間と全く同じ服装をしていて溜息をついた。
「…見たことないね、あんな姉妹。」
姉妹じゃねんだよ、と説明しながらふと思った。
確かに今まで一度も見たことはなかったな。
引っ越してきたのかもしれない。
俺の話を聞くと、傑は当たり前のように公園に入っていった。
「っ…はぁ!?おい傑、何してんだよ?」
俺は傑の後を追った。
「こんにちは。」
傑が優しい声色で挨拶すると、ガキも女も遊びの手を止め、不思議そうにこちらを見つめた。
傑は片膝を地面につけると、ガキに話しかけた。
「ボール遊び、好きなのかい?」
こういうことがサラッとできるコイツのこういう所だけはマジで真似できない、といつも思う。
ガキが小さく頷くと、傑は笑って言った。
「同じだ。私たちも大好きなんだよ。良かったら、一緒に遊んでくれるかい?」
チラリと女を見ると、女も頬を染めて小さく頷いた。
はいはい…
ボール投げから始まり、ボール当て、ドッジボール…
いつの間にかガキは俺達をお兄ちゃんと呼び、俺達は女とガキを名前で呼んでいた。