第11章 Vivit Color@忍足侑士 ❦
「で?やんの?やらねぇの?」
お見合い、と、常連の居酒屋でビールを飲む岳人に、したないけどせなあかん、と奥のボックス席の壁にもたれかかる。
「まっ!向こうから『こんな人いや』って言わる可能性もゼロじゃないもんなっ」
「がっくん、キツいわぁ」
「けど、結婚はまぁこの年になれば既婚者も増えるけど、侑士がお見合いとはなぁ」
跡部とか樺地ならなんとなくわかるけど、と、皿の遠慮の塊に箸を伸ばす岳人。
「写真の感じやと、蝶よ花よと大事に育てられたええとこのお嬢はん、言う感じやったわ」
「あー、まあ、お見合いするような家の子だろうからなぁ」
「本人は、製薬会社で働いとるらしいわ」
「じゃあ、薬剤師か?」
「いや、総務や書いてあったな」
「コネ入社?」
「どうやろ。
年は...4つ下?やったかな?」
「年下かぁ...侑士が年下って今まで無くね?」
「あー、一応おったわ。
高校の最後?大学のはじめ?やったかな」
「はっ!?記憶に無ぇんだけどっ」
「高等部の卒業式に告白されて、付き合って、夏休み明けに別れた子やったわ」
「早くね?」
「俺が大学の講義とか忙しゅうて、かまったれへんでフラれたわ」
よくある話だな、とビールを飲み干し、店員を呼び出す岳人。
「けどさ、この年になれば、お見合いとか関係無く、付き合う=結婚って話になるよな」
侑士の前にある空の中ジョッキをチラ、と見て、ビール2つとだし巻きと山芋鉄板を頼む。
「年取ったなぁ、俺たちも」
「年寄りかよっ」
「ガクトかて長男やから言われるやろ?
結婚や子どもやと」
「無くはないけどな」
「大人なんやなぁ、て、いやでも思い知らされるわ」
低いテーブルに腕を置き、項垂れる侑士。
「でも、医者だって言えば食いついてくる子はいるだろ?」
「...そういう女ん子は、ちょっと...
しかも、俺ん場合、研究機関やから『医者や』言うてもキョトンとされるんがオチやし」
「研究医って知名度低いよなぁ」
「これ以上ライフポイント削らんとって...」
泣いてまうわ、と手に顔を埋めて泣き真似をする。
「侑士の好きな純愛映画的展開でもあればなぁ」
「がっくん、創作を現実に求めだしたら、自分のなかで何かしらが終わっとると思うたがええで」
「うるせぇよ!」
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