第11章 Vivit Color@忍足侑士 ❦
「あの人、はっ高校の、先輩でっ」
「嘘つくんやったら、もっとなまともな嘘にせぇ」
待って、聞いて、と足を震わせながら、容赦無く攻め立てる侑士の機嫌が悪い理由を悟った。
「自分、女子校出身やろ」
「ゆ、うしさ...聞いてっお願い、お願いぃ」
んんっ!と体を震わせ、壁を爪で掻き毟る。
「最近、帰るんも遅かったしなぁ。
かまったれへんで、悪いなぁ思うとったんやで」
「アッアッ、んんっ!違うんですっ」
「なんがちゃうんか、言うてみ」
そう言いながら、少し腰を落とし、重く責めてくる。
「いっぱい構ったるよ。
他ん男なんや、見られへんほどになぁ」
「っ見てないっ見てないです!あぁうっ」
「っそうやって、あいつにも甘えたんか?」
ハッ、と嘲笑したような声に、してないっ!と首を横に振る。
「ゆう、し、さん」
ノロノロと振り返ると、眉を顰めて目を逸らした侑士。
「俺だけちゃうんやろ」
「っ違うのぉ!」
「口ではなんぼでも言えるわ」
冷え切った声に、ハラハラと涙が流れる。
「泣いてええよ。けど、なんぼ泣いてもやめへんで。
自分が誰のもんか、よお刻みつけとき」
スリ、と臍下辺りを優しく撫でられる。
「せや、子どもでもできたら、諦めるか?」
俺との子や、と笑った侑士に、ゾクッ、と背筋が凍る。
「なんや、まさか、今やったらどっちの子がわからへん、とか言わへんよね?」
ゆっくりと歪む侑士の口元に、違う、と腹部を撫でる手を握った。
Pirpirpirpir
リビングから鳴った携帯の着信音に、ビクッ、とそちらを見た紫雨。
侑士も、ゆっくりとそちらを向く。
「ひゃっ!」
挿入されたまま抱き上げられ、怖い!と侑士にしがみつく。
「侑士さんっ」
「誰や?」
携帯があるダイニングテーブルの前で下ろされ、侑士のものを納めたまま、画面を見る。
「あ、」
着信は、昼間に会った人から。
「出え」
「でもっ!」
「なんもせぇへん」
でも、と戸惑い、侑士を見上げる。
「俺の前やと、話されへん?」
そんな言い方されたら、と唇を噛みながら携帯を手にした。
「も、もしもし?」
-あ!紫雨?
昼、ごめんなぁ!ゆっくり話せなくてっ-
「いえ、あっ」
取り上げられた携帯を見る侑士に、心臓がバクバクと鳴った。