第23章 Amazing Grace
その数日後、面会のアポを取るために病院に電話をした。
最初出た人は知らない人だった。
新しい人を採ったんだろう。
医者か看護師か…
それとも補助の人だろうか。
待っている間、電話から流れる音の悪いクラシックを聞いていたら、急に緊張してきた。
智には、仕事のことだし一人で電話をしたいからと伝え、寝室に籠もっている。
一緒にいてもらえばよかった。
隣で息をしててくれるだけでも、この緊張が和らぐ気がした。
『もしもし?…櫻井?』
急に音楽が途切れて、懐かしい声が聞こえた。
「三宅先生…櫻井です。本当に申し訳…」
『おまえ!元気になったのか!?もう大丈夫なのか!?』
喋ってるのにバカでかい声で嬉しいことを言われて、思わずスマホを耳から外して画面を眺めてしまった。
「げ、元気です。まだ万全とはいきませんが…」
『……よかったぁ…おまえ、もう…本当に…』
あの三宅先生が言葉に詰まってる。
もしかして泣いてる…?
「先生…」
『本当に、よかった…翔、よかった…』
どれだけ俺は心配かけていたんだろう。
どれだけこの人は俺のことで胸を痛めたんだろう。
「すいません。三宅先生…すいませんでした…」
スマホの画面が歪んで、涙が落ちそうになった。
でもぐっと堪えた。
俺に泣く資格なんてない気がしたから。