第23章 Amazing Grace
そう言われて、潤の顔が浮かんだ。
あれから潤は家には来ないものの、なにかと俺に連絡をくれている。
最初は返事をするのも大変だったが、最近は体力がついてきたのか以前と同じようにメッセージのラリーもできるまでになってきている。
「頼める友人はいます。そいつに付き添って貰います」
「ああ。それがいい。智がよしんば行けたとしても、頼りないからなあ…」
その時、そっと寝室のドアを開けて智が顔を出した。
見計らったようなタイミングにびっくりしてる俺と視線が合うと、智は変な顔をした。
「え?呼んだ気がしたんだけど、違う?」
思わず西島さんと目を合わすと、笑ってしまった。
「な、なんだよ。俺の悪口でも言ってたのか!?」
その場で地団駄でも踏みそうな智がおかしかった。
「言ってないよ、そんな事…」
「ほんとうかあ?」
「地獄耳ってやつは本当にあるんだな…」
「オイ!西島!今、なんつった!?」
…そっか…
こんな平和に笑い合っているのに、この二人は表に出られない身分なんだ。
それはちゃんと覚えてるつもりなんだけど、やっぱり日常を過ごしていると、抜けていってしまう。
こんなに人間なのに──
同じ、人間なのに。
どうして俺と智たちは、違うんだろう。