第23章 Amazing Grace
いつの間にか駐車場の一番近くの入口にある新宿御苑ミュージアムの辺りから、旧御涼亭の東屋の建つ池のほとりにまで来ていた。
眩しい光が翠の池の水面に反射して、やわらかく辺りに拡散している。
旧御涼亭の中国風の建物を眺めながら俺達はしばらくそこで足を止めた。
「…恨んでもいいって、誰に許可とってんだ?」
不意に智が口を開いた。
「別にそこは翔の感情なんだから、翔が思ったままっていうか…恨みたいって思ったら恨んでもいいんじゃねえの?」
「…そうなの…?」
そういうものなの?
「だいたい、じゃあ…その置いてけぼりになった時、おまえはどう思ったんだよ?」
「だから、俺が同性愛の性向があるからいけないって…」
「それは!おまえの親の感情だろ!翔の感情じゃねえ!おまえは、どう思ったんだよ!?」
「…えっと、悲しい…?」
「だろ?悲しかったろ?だって、おまえが同性愛者になったのは、おまえのせいじゃないもんな。そんなどうしようもない理由でないがしろにされて、おまえムカつかなかったの?」
智の声がムカついてる。
思わず振り返って見上げると、少し唇を尖らせてムカついた表情をしてる。
それを見て、無性に嬉しくなった。
同時に心がふんわりと温かい。
「…あのときはさ。ムカつかなかったんだ」
「あ?」
「ショックのほうがでかかったっていうか。自分が普通じゃないからいけないって責めてたっていうか」
「そんなの翔のせいじゃねえだろ」