第23章 Amazing Grace
こんな闇から生まれた俺を許してくれるのは、智しかいない。
今、この瞬間にも闇の中で苦しんでいるであろう智だけなんだ。
ただそれをどう智に説明していいかわからなかった。
こんなドロドロの俺のことを──
「もうちょっと待っててくれる…?」
俺がちゃんと自分の言葉でこの胸に渦巻いているものを吐き出せるまで。
「無理しなくていい」
「いいんだ。俺が、伝えたい。ちょっとずつでもいいから、ちゃんと自分の言葉で」
ありきたりな言葉じゃなく。
リアルに自分の感じた生々しい感情を伝えることができたらいいなと思った。
「そうしたいんだ…」
ぎゅっと握りしめられた手が、汗をかいてる。
智にとっても言葉にすることが難しいことを、一生懸命俺にぶつけてくれたんだ。
「…待ってる」
「うん…」
その翌週から、天気のいい日にいろんな公園へ散歩に出かけるようになった。
どこから手に入れてきたのか、新品の介助用車椅子まで用意されていた。
車椅子を搭載できるハイエースも用意されてて(こちらは中古のようだった)、俺は車椅子に乗ったままどこにでも出かけることができた。
稲垣さんの伝手で用意して貰ったのかと思ったけど、そうじゃないみたくて、西島さんに聞いてみたらびっくりしてた。
智が一人で用意したみたい。
意外なことで、俺もびっくりした。