第23章 Amazing Grace
「…自滅…」
まさに今の俺じゃないか。
「そういうところが、翔と重なって見えたんだ」
智の言っていることはわかる。
けれど、どうしても和也の顔がちらついて、それを素直に受け入れられなかった。
そんな俺をじっと見て、智はぽつりと続けた。
「あいつは、独りなんだと思う。今も」
独り──。
「俺も……そうだった……」
「うん」
「…ああ…」
思わず声が漏れた。
突然湧き出た感情を抑えることができなかった。
和也って人は俺の鏡なのかもしれない。
そう思ったらもうダメだった。
今も独りだという彼を鏡のように見た自分の過去の孤独が、嫌と言うほど体の中に流れ込んでくる。
その怒涛とも言える流れに抗いながら、なんとか智の顔を見た。
「ずっと、智が俺の前に現れるまで…俺は、独りだったよ」
「ああ」
手を握りしめてくれた。
それでも苦しくなった呼吸に、智は背中を擦ってくれた。
大丈夫だと、その手の温もりが伝えてくれる。
「でも今は独りじゃない…」
黙って頷くと、ぎゅっと俺の肩を抱きしめた。
「俺が居る」
「うん」
「離れないから」
「…うん」
まだ頭の中がぐるぐる回ってるけど、智のその言葉は染み入るように脳に入ってくる。
「ありがとう…智…」
握りしめてくれた手を握り返す。
この温かさこそが、俺の存在を許してくれる。