第23章 Amazing Grace
「似てるとかそういうことじゃなくて…」
「やめてよ、そんなわけないだろ」
拒絶した瞬間、智は少しだけ視線を戻してきた。
その悲しそうな横顔が、逆に胸に刺さる。
ゆっくりと俺の顔を見ると、自分の手元に視線を落とした。
「ほんの、一瞬なんだ。翔と同じ怯え方をする」
「え…?」
どんな、怯え方だっていうんだ。
「それと、肝心なときに一人で全部抱え込んでしまって自滅するとことか…」
和也って人の顔がちらちらと脳裏に浮かんでくる。
とてもじゃないけど、そんな面があるようには俺には見えない。
「…あいつを庇うわけじゃないけど、あいつは俺や雅紀に関することは執拗に知ろうとするんだ。それはあいつにとって、大事なことで…なんつったらいいか、それをしてないと安心できないっていうか…」
上手く言葉にできないようで、ぽつりぽつりと智は語る。
「要は、失いたくないんだと思う。なんでかなって思ってたけど、怯えてるんだろうな。いなくなるんじゃないかって」
ゆるく握りしめた手を見ながら、まだ言葉を続ける。
「なのに、しつこいほど俺や雅紀の領分に入ってくるくせに、何かアイツにとって重大なことが起こると、自分で抱え込んで絶対に俺達を頼らないんだ」
ぎゅっと手を握りしめた。
「…そんで、自滅する」