第23章 Amazing Grace
俺自身が望んで同性愛者になったわけでも、進んでそれをひけらかしているわけでもない。
なのに、どうして俺の親は無関心を装いながら暗に俺を責め続けていたのか?
「俺を作ったのは、あんたたちなのに…」
そう呟くと、少しグラリと来た。地震だ。
そんなに大きなものじゃない。せいぜい震度3くらいだろう。
揺れが収まるまでの間、目を閉じて幼い頃からの、家族のことを思い出した。
懐かしさとともに、息が詰まるような苦しさがこみ上げる。
消えてしまいたいような──
俺は幸せそうな家族写真の、ただ一点の染み。
そんな染みはなくなってしまったほうが、さぞ上品な写真になるだろう。
『だから俺は消えてしまったほうがいいんだ』
あの頃の俺が、そう呟いた。
高校生の頃、そう願っていたことを思い出した。
死にたかったんじゃない。
消えてしまいたかったんだ。
この世に自分が存在したことを、なかったことにしてしまいたかった。
そうすれば、俺のこの苦しみもなかったことにできる気がして。
「そんなこと…できるはず、ないじゃないか…」
まだ十代の頃の幼い自分の写真の顔を思い浮かべながら呟くと、少しだけ心が解けた気がした。