第23章 Amazing Grace
「……間違ってなんか、いないと思います」
俺の返答が意外だったのか西島さんは酷く驚いた顔をした。
「なんで、そう思う?」
「だって…」
だってそう思ってしまったら俺達の存在って一体なんなのか…
足元の無い空中を歩くように、不確かな存在になってしまう。
確かにここにいるのに。
存在しているのに。
あの部屋の隅の闇のような──
俺達は、違う。
あんなものじゃないはずだ。
「俺達は、同性愛であることを選び取って…生まれてきたのかもしれません」
つっかえながら言うと、西島さんは俺の目を見ながら先を促すように小さく頷いた。
「だから…間違っているのは、それを否定する周囲であったり…親、だったり…?」
そう。
間違っているのは、それを俺達の「罪」だと思っている奴ら。
──家族なんじゃないか──
ぞわり、鳥肌が立った。
「あれ…?なんで…?」
なんで俺は、自分が不完全なものだって思っていたんだ?
周囲が、家族が、親が…
俺をそんなふうに扱ったからじゃないのか
また鳥肌が立つような感覚に襲われて、思わず二の腕を手のひらで擦った。
俺達は、間違ってなんか…ない。