第23章 Amazing Grace
日々は流れていく
俺がなにを思っていようと
闇がなにを思っていようと
「外に出てみたらどうだ?」
「──え?」
ある日、西島さんが来た日。
ベッドの上で体を起こした俺の顔を見て、開口一番そんなことを言う。
「随分顔色が良くなった。運動はまだしてないんだろ?足慣らしも兼ねて、ちょっと外に出てみたらどうだ?」
微笑みながら俺の目の奥を覗き込むようにする。
「まだ…」
まだ、外に出る気にはならなかった。
もう随分元気になってきたとは思うが、手も足も筋肉が戻らず細いままで。それをどうにかしなきゃとは思うけど、どうにもできない怠惰な自分もいて。
「どうして?」
「え?」
西島さんは、ゆっくりとベッドのそばにある椅子に座った。
「もうそろそろ体を動かさなきゃとは思ってるんだろ?」
「うん…」
「なんでやろうという気にならないか、わかるか?」
じっと、細くなってしまった自分の手首を眺めた。
「…まだ、筋力が戻ってないから…」
そう口に出してしまったら、どうしてそこにこだわっているのか、わからなくなってしまった。
筋力が戻っていないのなら、なおさら動かなければならない。
なのになんで俺は動かないことにこだわっているのか。
思わず西島さんの顔を見上げると、笑っている。
「完璧じゃなくたっていいんだ」
ドキッとした。
どうして、わかるんだろ。
「完全に元になんて、もう戻らないんだから」