第22章 1 John 1:9
翔っ…
翔っ…
どこかで、智の呼ぶ声が聞こえる。
水底に居る俺はそれが聞こえても動くことができなかった。
目を開けると水面は明るく。
手を伸ばすと届きそうなのに、指先ひとつも動かすことができなかった。
──ごめん、智
翔っ…しっかりしろっ…
髪の毛をせっかく切ってもらったのに。
ごめんね。
智は覚悟しろよって言ったけど…
驚かせてごめん。
やっぱり俺は、あの人達と一緒に行くしかないんだ
暗い水底で、俺を待つあの人達と
同じ場所へ……
櫻井くん、ここは暗い
櫻井くん、ここは寒い
さあ、いこうよ
私達の世界へ
「バカヤロ…」
ぎゅっと握られた手が痛かった。
「なんでそんなこと言うんだよ、翔…」
智、ごめん…
「死んじゃダメだって…言ったのはおまえだろ…!?」
握った手が更に強く握られた。
「生きて…生き抜くんだってっ、その人達の分まで…そう言ったのは翔、おまえだろ!?」
生き抜く…
あの人達の分まで…
俺が…?
「そうだろ!?俺にそう言ったのは、おまえなんだよっ…忘れたのかよっ…」