第22章 1 John 1:9
「そっか…まだ…」
「うん。洗面台の下に仕舞ってある」
「じゃあそれで髪の毛もすっきりさせるか?」
「お願い…できる…?」
鏡越しに智の目を見たら、少し微笑んだ。
「任せろ」
そう言うと洗面所の引き戸を開けた。
「取ってくるから、座って待ってろ」
「うん」
智は洗面所を出て俺の部屋に向かった。
俺の部屋は…
もしかしたら家族が来たりして煩わしいことになりそうだから、あまり使わないようにしてる。
智の部屋には一通りの生活用品が揃っているから困ることはなかったし、もし足りないものがあってもベランダから俺の部屋に取りに行けばよかった。(仕切り板は智とおじいさんが修理してドアみたいに開け閉めできるようになってる)
外に出ることもないから、智と俺の部屋が関連があることなんてわからない。
だから、この部屋は俺の隠れ家みたいになってる。
外界からの隠れ家──
ここに居る間は、いろんなことを忘れることができた。
今の俺にはこういう場所で養生することが必要なんだって、西島さんが言ってた。
西島さんみたいな医者でも、教科書通りのことを言うんだってちょっと面白かった。