第22章 1 John 1:9
それから数日ずっと微熱が下がらなくて。
でも少し食欲はあって、智の作ってくれるものを起きていれば食べた。
不思議なことに体に肉がついてくると、血液や体液が循環しているのがわかるようになってきた。
体の中に川が流れているような感覚だ。
そしてこれは当然のことなんだが飯を食べると体が熱くなる。
体液の川に乗って熱が体の隅々に運ばれ、冷たかった手足の先がポカポカするようになってくる。
この熱が、人間を動かす動力なんじゃないかって…
人間は、こうやって『生きる』んだって。
ただ飯を食うというこの行為だけで、俺は生をまざまざと実感した。
意外だった。
飢餓状態から身体が復旧していくって、こんな感じなんだ…
今まで勉強してきた教科書には、書いてないことだ。
あたりまえか。
教科書を書いてる人は、飢餓状態なんかなったことなんてないんだから。
「動くなよ?」
「ん…」
透き通るような冬晴れの日。
正月も近いから、髭を剃ることにした。
自分だとまだ手元が震えて覚束ないから、智に剃ってもらうことにした。
俺の持っていたでかい電気カミソリにはバリカン機能がついてる。
ガチっと大きな音を立てて電源を入れると、智は俺の喉元に電気カミソリを当てた。
目を閉じていると、喉元の電気カミソリの振動がダイレクトに響いてくる。髭が刃に当たって砕け散るような音が聞こえてくると、一層振動は酷くなった。
「首、痛くないか?」
手でOKサインを作ると、また電気カミソリは動いた。