第22章 1 John 1:9
「中華もあるよ…?」
「え?」
そう。俺の部屋の冷蔵庫。
そこに潤の中華もある。
「…もしかして、松本が来たのか?」
少し驚いた。
潤の名前、覚えていたんだ。
「うん」
頷くと、智の顔が少し強張った気がした。
「鍵…返しに来てくれた」
その一言で理解できたのか、表情が和らいだ。
「そっか…」
くしゃりと俺の頭を撫でると、立ち上がって背中を向けた。
「じゃあ中華は俺が食う」
「へ?」
「どうせ食えないだろ?翔には柔らかい物じゃないと」
「まあね…」
なんだろ。
ちょっと、嫌味っぽいっていうか…
智らしくない回りくどい言い方。
「あ」
もしかして、妬いてる?
「ふ…ふふふ…」
笑ってるうちに、水面がどんどん遠くなっていく感覚がしてきた。
「もう…笑ってろよ…」
水面の外から智の声が聞こえてくる。
「飯ができるまで、寝てろ」
うん…ごめんね…
まだ眠り足りないみたい
意識がコポコポと水底に降りていく。
体が沈み込んでいく先は、柔らかい泥の中。
深い、深いヘドロの泥の中──
冷たい
ここは冷たい
水の中は冷たい
櫻井くん、一緒に──