第22章 1 John 1:9
「誰…?」
思わず口から疑問が溢れだしてしまった。
「ああ…」
白髪のおじいさんは、にやっと笑った。
「智の知り合いのジジイですよ。智のバカが壊した物を直しに来たんだ」
「智の…?」
智はきまり悪そうな顔をしてる。
「…知り合いのじいさんなんだ。翔の部屋と俺の部屋の間の仕切り板を壊してしまったから…」
「俺の部屋…?」
やっぱり、俺の部屋…なんだ。
床についた手の冷たさ。
冷たいような温かいような日中の空気。
昼間の光の鋭いほどの眩しさ。
懐かしい思い出のあるテーブルセット。
そして眼の前には、智が居る。
「あ…ああっ…」
現実なのか
これは、現実なのか
「翔…?」
智の怪訝な顔が白黒に見える。
見ないで
こんな俺を見ないで
「オイ、智。こりゃあ…」
「翔っ…しっかりしろっ…」
だんだん目の前が暗くなってくる。
ああ、脳貧血起こしてる──
ぼうっとする意識や、視界の暗さに自分で診断を下してることがおかしくて…
「もう…嫌だ…」
医者じゃないのに
医者だった俺は、俺のこと許してくれない
「翔っ…」
「智、こりゃあ病院に…」
「西島に連絡を──」
遠くで聞こえてる声は、ぶつりと途切れた。