第22章 1 John 1:9
稲垣さん自らの手で、点滴の準備が整えられた。
夢だからか看護師はいないようだった。
針を入れられるとき、少し痛かった。
夢なのにリアルだな…
そう思っていたら、眠気が来てウトウトしてしまったようだった。
遠くで話し声がするのをぼんやりと聞いていた。
「あれから少しは食事はできたか?智」
「ああ…またパン粥を食べたがったから、作ったけど…」
「パン粥ってなんですか?」
智のかーちゃんの味なんですよ…
とっても、美味しいんです。
「パンをスープで煮たもの…かな?」
「この患者は美味いって食ってたそうだ」
この患者って…俺のことかな…?
そういえば、西島さんにはそう言ったかもしれない。
「へえ…それはお年寄りでも食べやすそうですね」
「レシピはネットで調べたらいくつか出てくる…」
「そうなんですね。またいいこと聞いたなあ」
そうでしょう?
とっても美味しいし柔らかいから、きっとお年寄りも誤飲や誤食がなくて安心ですよ…
患者さんたちが気に入ってくれたらいいなあ…
「最後に食べたのがそのパン粥で、ここにつれてくるまでは何も食べてない」
「じゃあ丸一日なにも食べてないんですね…」
一日…?
夢の中なのに、時間の経過があるのか不思議だなと思った。