第22章 1 John 1:9
白衣の人はこの前も夢の中で診てもらった。
名前なんだっけな。
聞いたような気もするけど、思い出せない。
設備から個人医院をやっている内科医なんだろうなと思う。
スーツの人は西島という人だ。
この人も医者だと言っていた気がする。
西島という名前に聞き覚えがあったが、それがいつどこで聞いたものか思い出せなかった。
「わかりました…熱が高いのが気になりますね」
「ああ。まあ環境が変化したんだ仕方ないだろう」
「環境の変化?」
「今は自宅からコイツんちに移動したんだ」
「ああ…」
西島さんが親指で指した後ろには、暗い顔をした智が立っていた。
「自宅はちょっとまずいんでね。それに一人にはしておけないし」
「それは仕方のないことですね。環境は自宅に近いものを整えてあげてくださいね」
医師がそう言うと、智は大きくひとつ頷いた。
「じゃあしばらく様子を見て、熱が下がらなかったらまた連れてきてください」
「いつも悪いな、稲垣」
「いいえ。早く良くなるといいですね」
稲垣さんはそう言うと、俺の額に手を乗せてくれた。
「あなた自身も医者ということですから、早く良くなるためすることはわかっていますね?」
優しい笑顔だけど、厳しい口調だった。
「はい…」
抵抗しようにもできない、厳然たる医者としてのプライドを問われた気がした。
「いいでしょう。では点滴をしますから、少し待っていてくださいね」