第22章 1 John 1:9
「翔っ…」
智の声が遠く聞こえる。
眼の前がどんどん白くなっていく。
「ごめ…さと…し…」
かーちゃんの味なのに
最後まで食べられなくてごめん
ごめんなさい
本当にごめんなさい
「なんで謝ってんだよ!?俺になんか謝ってんじゃねえよっ…」
智の泣きそうな声が聞こえたところで、眼の前が完全に真っ白になった。
ごめんね智──
夢の中だけど、悲しませたくはないのに…
「目が覚めましたか?」
聞いたことのあるような気がする声。
「どう?気分は」
目を開けると、メガネを掛けた白衣を着た人が見えた。
「はい…気持ち悪いです…」
その人の後ろには、智と背の高いスーツを着た男の人が立っていた。
「そっか。ほかは?頭が痛いとかない?」
「いいえ…」
「じゃあ吐き気が強いから、ナウゼリンを処方しておきますね。あと熱が高いから、カロナールも…」
通りで体が熱い。この感じだと38度はありそうだった。
体の皮膚が熱を持って、節々が痛い。
白衣の人は後ろのスーツの人に話しかけてる。
「先輩のほうで、なにか処方考えてますか?」
「そうだな…リーゼは在庫あるか?俺が診てた患者の中で、リーゼを処方すると食欲が改善される傾向があったんだ」
「へえ…それはいいことを聞きましたが…残念ながら抗不安薬はデパスしか在庫がありません」
「ああ、それでいい。それを頼めるか」
「わかりました。他には?」
「今日のところはそれだけでいい。まだ話がよく聞けてないんだ」