第21章 Psalm 121:1-3
「多分…それが原因じゃない気がするけど…」
「ん?なんか喋ったのか?櫻井翔が」
「いや…でも、医者になるっていうのは本人に取っては早くから既定路線だから、とっくにそういうところはクリアしてるはず」
「まあな。もしも逃げ出すなら、大学に在学中に研修や実習に出るんだからその時に逃げてるわな」
「だよな?それに国家試験ってやつに受かっても、その後研修があるんだろ?そこを通ってきてるのに、今更そんなことが原因じゃない気がする」
「まあなあ…」
俺の直感はそんな風に出ているが、なにせ俺は人殺しの暗殺者だ。
いろいろな感覚が擦り切れているのは否めない。
西島にしたってそうだ。
精神科医だったとはいえ、今じゃヤクザの組の幹部だ。
俺達の尺度を翔に当てはめるべきじゃない。
「ま、なんにせよ、俺は治療をしていくしかないがな…今は本人の体力に問題があるから、そっちの治療が優先だからこれ以上は理由については深追いしないけど」
「ああ」
「わかったら知らせてくれ。まあわからなくてもそのうち櫻井翔には吐かせるけどな」
またひとつタバコを吸うと、とっても爽やかな笑顔を俺に向けた。
「吐かせるて…」
「乱暴なことはしねえよ」