第21章 Psalm 121:1-3
寝室を出ると、西島は紙タバコを口に咥えた。
しかし、ハッとした顔をするとすぐに口からタバコを取った。
「すまん。禁煙か?」
「さあ…雅紀の持ち物だから多分いいと思うぜ?」
リビングに入ってソファに西島を座らせると、キッチンを探って灰皿らしきものを見つけた。
「おまえ、そういえば吸ってないのかよ?」
「ああ。俺は仕事のこともあるから、そんなには吸わないようにしてるし…」
「なるほどね」
テーブルに灰皿を置くと、西島はそれを持ってベランダに出た。
俺もスリッパのまま外に出た。
テーブルセットの椅子に西島は座ると、強い風に苦労しながらもタバコに火を着けた。
「ターボのライターもってくりゃよかった…」
「くくく…」
背もたれに体を預けると、西島は深いため息を付いた。
「で?なんかわかったか?」
「いや、今んとこは…でも…」
「でも?」
「患者を死なせてしまったらしい。まだはっきりとはわからないけど」
「へえ…」
ひとつ大きくタバコを吸い込むと、細く細く煙を吐き出した。
「言っちゃなんだが、もしそれが原因なら相当ヤワだってこった」
「そう…なのか?」
「そんなことは整形外科と言えど医者に取って日常だ。ましてやあんな大きな病院に勤めていたのならな」