第21章 Psalm 121:1-3
「気分はどうですか?」
「悪く…ありません」
夜になって現れた西島は、家に入るとすぐに洗面所に入って手を洗い、慌ただしく翔の寝ている寝室に向かった。
「それはよかった」
翔の寝ているベッドの横に跪くなり、話しかけた。
あまり時間がないんだそうだ。
状態が良くないから、少しの時間でもいいから毎日話をしたいと西島は朝の電話で言っていた。
「今日は、何をして過ごしていましたか?」
「今日は…パン粥を食べました」
「パン粥?」
「とても美味しかったです…智のお母さんの味…」
「へえ…」
なぜだか西島は嬉しそうな顔をして頷いた。
「美味しく食べられてよかった」
「はい…」
「それ以外は何をしましたか?」
「ベランダに出て、おひさまの光に当たりました」
「そう…よかった」
西島は俺を見上げると、頷いた。
「今日は暖かかったでしょう」
「でも風がすごかった」
「ああ、ここは高いですもんね」
カーテンの閉まっている窓のほうを見ると、西島は微笑んだ。
「寒くはありませんでしたか?」
「ううん…智がたくさん着せてくれたから…」
「そう。今日はじゃあ、とても穏やかな一日だったんですね」
「はい」
安心しきった顔で、翔は頷いた。