第21章 Psalm 121:1-3
寝室で眠る翔の様子を見てから、ベランダに出た。
翔はしばらく起きそうもなかったから、じいさんに言われた通り、仕切り板の破片を拾って片付けた。
頭の中をからっぽにして、掃除に集中した。
余計なことを考えてしまうときは、こうやって何かに集中するのがいい。
今の俺がすることは、翔を回復させること──
そのためにはなんだってやるし、俺がやるべきことは一旦置いておいたっていい。
ベランダの強い風。
頬に感じる寒さや指先に当たるアクリルの破片の鋭さ。
そんなものを感じながら、自分のやりたいことやるべきことを削いでいく。
ある程度破片を纏めると、パントリーにあった段ボールを持ってきて入れておいた。
それをベランダの隅に寄せて置くと、作業は完了した。
「ふう…」
ずっと腰を屈めていたから、伸びをした。
今日も風は強いが、晴れていい天気になってる。
腰を伸ばしながらもその風景を眺めた。
昨日見た景色と同じなのに、なぜだか今日のベランダからの眺めはとても気持ちの良いものに見えた。
リビングから微かにスマホの呼び出し音が聞こえた。
急いでリビングに入ると、カウンターテーブルの上に出したままになっていたスマホを手に取った。
「あ、西島」
昨晩会ったばかりのヤツからの連絡だった。