第21章 Psalm 121:1-3
「ありがとう…じいさん…」
『まあ、あとは松本潤から櫻井翔に連絡があったら、本人から言わせておくのが一番いいんだがな』
「あ…」
自分が接触することばかり考えていたから、そこが抜けていた。
「話す分には問題なさそうだから、翔に連絡させるよ」
『ああ…できるならそっちのほうがいいな。もしも合鍵の受取が必要なら連絡くれよ』
「わかった」
『それと、ベランダの仕切り板は今度俺が修理に向かうから、破片だけ始末しとけ』
「ごめん…本当に世話になる。ありがとう」
『まあ、いいってことよ』
また少し沈黙があって、じいさんはちょっと考え事をしているようだった。
「じいさん?」
『なにか、喋ったか?櫻井翔』
「いや…いまのとこは…」
『そうか…いや、まだ確認できてないんだがな…』
よっぽど言い難いことなのか、じいさんが口ごもった。
「なんだよ?」
『患者を死なせてしまったらしい』
「え?」
『でもどういう状況だったかの確認が取れてないんだ。またわかったら連絡する』
「ああ…頼む」
じいさんとの通話が終わっても、立ち上がることができなかった。
医者なんだから、患者が死んでしまうことはあるんじゃないかと思う。それがどうしてこんなになるまで翔は自分を追い込んでるんだ。
なにか特別な事情があったんだろうか…
初めてそんな目に遭ったとか?
その人のことが、好きとか?
「……」
そこまで考えて、頭を横に振った。
翔のあの様子を見ておいて、どうして俺はそんなことを思うんだ。
バカバカしい。