第21章 Psalm 121:1-3
『もしもし?』
「智だけど…今、いいか?」
『ああ。ちっと待ってろよ』
ガサゴソと音がしたあと、すぐにじいさんは戻ってきた。
『すまねえな。コーヒー淹れたとこでよ』
「わりい。あのさ、松本潤の連絡先、わかるか?」
『は?』
「わかれば教えてほしいんだけど」
『なんだよ。朝早くから藪から棒に…』
「あと、ベランダの仕切り板を蹴破ってしまったんだけどさ」
『はああ!?』
「それ、どうしたらいいと思う?」
たっぷり沈黙の間があった。
『おめえ、素人さん相手になにやってんだよ!?』
何を勘違いしたのか、でっけえ雷が落ちた。
「違うって!緊急事態だったんだよ!」
『はあ?どういうこった?』
「ベランダで翔が倒れてるのが見えたんだ」
『なんだと…?』
「仕方なかった」
『…容態は?』
「西島の知り合いの内科医に軽く見てもらったけど、大丈夫だって。西島はおそらく精神的なものだろうって…」
じいさんの深い深い溜め息が聞こえた。
『まあ、だろうな』
「なんか…わかった?」
『いや…まだ。だけど情報は取れそうな気配はしてる。あと少し待て』
「うん…わかった」
『松本の連絡先なんてどうするんだよ?』
「仕切り板も蹴破ってしまったし、しばらく翔の家に来てほしくないんだ。あいつ、合鍵も持ってるし…」