第21章 Psalm 121:1-3
「本当は…愛人のところに行ってたんだ」
「え?」
「父さんも母さんも、仕事だっていいながら愛人のところに行って帰ってこなかった」
「翔…」
翔はまたスプーンを動かすと、少しだけ口に運んだ。
「美味しいね。智…」
「ああ…」
以前に暮らしていたときは…
翔が小さな頃の話はあまり聞かなかった。
両親には自分が男が好きなせいで、見捨てられたというような話はしていたが…
それ以外は祖父母の話は聞くことがあっても、あまり聞かなかったが。
もしかすると、話すことがなかったのかもしれない。
翔はパン粥を半分だけ食べることができた。
食べ終わらないうちから眠そうにしていたから、すぐに寝室に運んで寝かせた。
体調は悪くなさそうだったけど、たったあれだけしか食えないのだから、ガリガリになってしまうのも頷けた。
多分、松本潤は必死に翔に食わせようとしてたんだろうと思うが、冷蔵庫にあった(多分)残り物であろう惣菜の量は多かったから、成功しなかったんだろう。
翔が深く眠っているのを確認して寝室を抜け出した。
急いでリビングに戻ると、松岡のじいさんに電話を掛けた。
朝早かったが、じじいだから起きてるはずだ。