第21章 Psalm 121:1-3
「いいさ。乗りかかった船だからな。おまえのとまとめて相葉さんには請求させてもらうさ」
「うへ…」
「ちゃんとナシつけとけよ?」
「わかってる。あんたに悪いようには絶対にしないから」
そう言うと、西島は大きく頷いた。
「明日は予定はわからないが時間が取れ次第見に来るから。来る前におまえに連絡する」
「頼む」
「じゃあな。智もちゃんと寝ろよ。看病する側が体調崩したら洒落にもならん」
「ああ、わかってる。気をつけてな」
「おやすみ」
トレンチコートの裾を翻して、西島は帰っていった。
「ふう…」
稲垣医師のところでコーヒーを貰ったせいか、目が冴え渡っていた。
すぐには眠れそうもない。
そっと翔の顔を見に行くと、深く眠っていた。
さっきから一度も目を覚ましていないから、息をしているのか心配になった。
首の動脈に触れたら、ちゃんと脈打っていて安心した。
指先から伝わってくる翔の体温が緊張を溶かした。
「翔…」
呼びかけても開くことのない瞼にキスをした。
あの頃のことを思い出した。
数ヶ月の間しか一緒に居なかったが、あの時間は愛し愛された本当にしあわせな時間だった。
「今度は、俺が…おまえを救うから…」