第21章 Psalm 121:1-3
「翔のためなら、なんだってする」
そう言うと、西島は黙った。
ちらりと横顔を見ると、眉間にシワを寄せて不満そうにしてる。
「面白くねえな」
「あのな…」
「普通は恥ずかしがってそういう、クサイ台詞なんぞ言わないもんだぞ?」
そんな女子高生みたいなことでいちいち恥ずかしがってられるか。
「別にアンタは翔じゃないからな」
「おお~」
「あん?」
「すげえな。櫻井翔以外はどうでもいいってことか」
「なにもそんな極論言わなくても…」
まあそれに近いものはあるが。
「極論なもんか。合ってるだろ?」
だからコイツは嫌いだ。
マンションに着くと、車寄せで翔と西島を降ろした。
地下の駐車場の契約はあたりまえだがしていない。
専用のキーがないと入れないから正面玄関から出入りするしかない。
「じゃあそこの応接セットのとこで待っておく」
「ああ。車を停めたらすぐに戻って来るから…」
二人を降ろした車内は急に静かになった。
その分、余計なことを考えてしまう。
深夜でもマンションの周辺は明るくて。
こんな時間なのに、人の姿もちらほらと見えた。
道路を走る車の数は、昼間よりは少ないが途切れることはない。
この街は1日中誰かが起きてる。
まるで殺しても死なない、怪物のようだ。
例え俺達が死んでも…
きっと誰かが生き返って
この街を永遠に彷徨うんだろう